3Dディスプレイの仕組み(発展編)
最終的に目指しているプロダクト「3Dディスプレイドングル」についてはこちら。
3Dディスプレイドングルについて
この記事ではこちらの動画を元にして解説しています。
【36視差】裸眼3Dディスプレイを自作してみた【立体映像】
3Dディスプレイの仕組み(基本編)では、なぜレンチキュラーレンズで3Dディスプレイが作れるのか、どのくらいの視点数ができるのかの基本を解説しました。
しかし、動画で作っていた36視点は到底及びませんでした。
以下では、視点数を飛躍的に増加させるテクニックと、もう1つ実際に作る時に気にしなければならない焦点について解説していきます。
動画中で、「レンズのラインが画面に対して斜めになるようにカットするのが視差数を増やすポイントです。」「独自の計算により9.46度の角度を付けました。」と言っていますが、なぜレンチキュラーレンズを斜めにすると視点数が増えるのか。あと9.46度ってなに?
基本編でディスプレイの色を出せる最小面積であるといった1ピクセルですが、これは赤、緑、青(RGB)の3つのライトが組み合わさって1つの色を出しています。
小さいとき、テレビ画面を虫眼鏡で拡大したりしなかったでしょうか。
1ピクセルはこの3つが組み合わさって正方形になるようになっています。
実はディスプレイごとにこのRGBが横に並んでいたり、縦に並んでいたり違うのですが、普通に使う分には全然意識しませんね。
ここに基本編に出てきた台形のレンチキュラーレンズをそのまま置いてみます。
すると、左から見えるのはこの部分です。
赤だけ。
しかし、レンチキュラーレンズを斜めに置いてみます。
すると、左から見えるのはこうなります。
RGBがきれいに入ります。
RGBの並びが横でも縦でも気にならないように、同じ方向にRGBさえ出力されていればちゃんと色を認識することができます。
これで、同じレンチキュラーレンズ、同じディスプレイでも視点数が増やせるというわけです。
そして、上記の図で使っている角度が大体9.46度です。
横1ピクセル、縦6ピクセルで1つの組になるように斜めに置くと大体9.46度になります。
ちなみにこの時PPLはどうなるかというと
いや違います。
「レンズ1本の横幅に入るピクセル数」は9.46度傾けた程度では大して変わりません。
ここでPPLと視点数が乖離します。
1視点をピクセルではなく、RGB、つまりサブピクセルで表現できるようになりました。
「レンズ1本の横幅に入るサブピクセル数」をPITCHと呼びます。
PITCHの意味は正確ではないかもしれませんが、このブログではそういう概念でこれから扱っていきます。
1ピクセルにサブピクセルは3つあるので、PITCHはPPLの3倍になります。20.68。
まだ足りないじゃん。
いや違います。
今まではレンズを台形に単純化していたので、3つでしたが、当たり前にレンチキュラーレンズは半円です。
なので、この範囲でもRGBを構成できます。
これで視点数がPITCHの2倍になります。41.36。
これは最大値なので、これ以下にすることが可能です。
ようやく36視点が実現できましたね。
しかし、同時にこれは1視点当たりの解像度が下がる、ということになります。
普通は1ピクセルで表現できた色を6ピクセル分使わないと表現できなくなってしまいました。
板状になっている部分の厚さが大半を占めています。
レンチキュラーレンズはもちろんレンズなので、よく見えるための適切な距離、焦点があります。
そして、下敷き、定規、ポストカード、ポスターなどに代表されるように主な利用用途は印刷です。
つまり、レンチキュラーレンズは対象物が板状部分に密着していることを想定しています。
しかし、液晶ディスプレイではおよそこの板状部分に発光面を密着させることができません。
なので、板側とは反対の焦点を使います。
かまぼこ状になっている方を画面にむけて配置します。
これをしないと、折角計算して、3Dディスプレイ用に画像を用意してもぼやけてしまって全然見えなくなってしまいます。
理想を言えば、この表面のガラス板やら偏光板やらを外してしまえばよいのですが、えいやとやるにはディスプレイも安くないので…。
3Dディスプレイドングルについて
この記事ではこちらの動画を元にして解説しています。
【36視差】裸眼3Dディスプレイを自作してみた【立体映像】
3Dディスプレイの仕組み(基本編)では、なぜレンチキュラーレンズで3Dディスプレイが作れるのか、どのくらいの視点数ができるのかの基本を解説しました。
しかし、動画で作っていた36視点は到底及びませんでした。
以下では、視点数を飛躍的に増加させるテクニックと、もう1つ実際に作る時に気にしなければならない焦点について解説していきます。
●レンチキュラーレンズを斜めにする理由
どうやって36視点にしているか。動画中で、「レンズのラインが画面に対して斜めになるようにカットするのが視差数を増やすポイントです。」「独自の計算により9.46度の角度を付けました。」と言っていますが、なぜレンチキュラーレンズを斜めにすると視点数が増えるのか。あと9.46度ってなに?
基本編でディスプレイの色を出せる最小面積であるといった1ピクセルですが、これは赤、緑、青(RGB)の3つのライトが組み合わさって1つの色を出しています。
小さいとき、テレビ画面を虫眼鏡で拡大したりしなかったでしょうか。
![]() |
| 横6ピクセル、縦6ピクセルの拡大図 |
実はディスプレイごとにこのRGBが横に並んでいたり、縦に並んでいたり違うのですが、普通に使う分には全然意識しませんね。
ここに基本編に出てきた台形のレンチキュラーレンズをそのまま置いてみます。
しかし、レンチキュラーレンズを斜めに置いてみます。
RGBの並びが横でも縦でも気にならないように、同じ方向にRGBさえ出力されていればちゃんと色を認識することができます。
これで、同じレンチキュラーレンズ、同じディスプレイでも視点数が増やせるというわけです。
そして、上記の図で使っている角度が大体9.46度です。
横1ピクセル、縦6ピクセルで1つの組になるように斜めに置くと大体9.46度になります。
ちなみにこの時PPLはどうなるかというと
PPL=PPI/LPI*(1/cosθ) = 203.98/30*(1/cos(9.46))≒6.89
全然ダメじゃん。いや違います。
「レンズ1本の横幅に入るピクセル数」は9.46度傾けた程度では大して変わりません。
ここでPPLと視点数が乖離します。
1視点をピクセルではなく、RGB、つまりサブピクセルで表現できるようになりました。
「レンズ1本の横幅に入るサブピクセル数」をPITCHと呼びます。
PITCHの意味は正確ではないかもしれませんが、このブログではそういう概念でこれから扱っていきます。
1ピクセルにサブピクセルは3つあるので、PITCHはPPLの3倍になります。20.68。
まだ足りないじゃん。
いや違います。
今まではレンズを台形に単純化していたので、3つでしたが、当たり前にレンチキュラーレンズは半円です。
なので、この範囲でもRGBを構成できます。
これで視点数がPITCHの2倍になります。41.36。
これは最大値なので、これ以下にすることが可能です。
ようやく36視点が実現できましたね。
しかし、同時にこれは1視点当たりの解像度が下がる、ということになります。
普通は1ピクセルで表現できた色を6ピクセル分使わないと表現できなくなってしまいました。
●レンチキュラーレンズの焦点
説明図ではかなり簡略化していましたが、レンチキュラーレンズの断面はこのような姿をしています。板状になっている部分の厚さが大半を占めています。
レンチキュラーレンズはもちろんレンズなので、よく見えるための適切な距離、焦点があります。
そして、下敷き、定規、ポストカード、ポスターなどに代表されるように主な利用用途は印刷です。
つまり、レンチキュラーレンズは対象物が板状部分に密着していることを想定しています。
しかし、液晶ディスプレイではおよそこの板状部分に発光面を密着させることができません。
![]() |
| 液晶ディスプレイの断面 カラーフィルタがレンチキュラーレンズに密着することが望ましい |
かまぼこ状になっている方を画面にむけて配置します。
これをしないと、折角計算して、3Dディスプレイ用に画像を用意してもぼやけてしまって全然見えなくなってしまいます。
理想を言えば、この表面のガラス板やら偏光板やらを外してしまえばよいのですが、えいやとやるにはディスプレイも安くないので…。
●現物合わせが必要
さて、以上で計算と注意点はできましたが、どうしても現物合わせをしなくてはなりません。理由は焦点距離です。
液晶ディスプレイ表面のガラス板の厚さもわかりませんから、実際どのくらいの距離でかまぼこ面が面しているのか正確にはわからないのです。
すると、光が隣のレンズ領域に漏れてしまったりするわけです。
現物で合わせてみて、PITCHを微調整する必要があります。
計算で出したPITCHを基準に、小数点以下2位くらいを調整する感じになります。
どうやって現物合わせをするかは、3Dディスプレイ用レンダリングのエントリで詳しく説明します。







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